関西屈指の業務用食品スーパーが人々と地域を元気にする!
■ 新たな商売を求めて業務用食品スーパーを立ち上げる
穂積 まずは社長の歩みから伺います。
吉野 私は大阪出身で、実家は結納品などを取り扱う商店でした。そちらは祖父が始めた店で、その後は父が継いでいたのですが、父は43歳の若さで他界しまして・・・・・・。店はたたまざるを得なくなり、住んでいた家や土地も手放すことになったのです。私はまだ子供だったので状況がよくわかっていませんでしたが、今にして思えば、母は大変苦労したことでしょう。それでも私を大学に入れてくれましたし、母には感謝するとともにその強さを見習わねばなりませんね。
穂積 では、もともと商売に対して興味を持っておられたのでしょうね。
吉野 ええ。祖父や父が活気溢れる世界で働く姿を見ていましたので、いずれは自分でも商売を手がけてみたいと思っていました。その思いが強くなったのが大学生の時に酒屋でアルバイトを始めてからで、親方にもこの道で独立したいと相談したほどだったのですよしかし、当時は酒屋になるためには5年の経験年数が必要だったので、卒業後は問屋に就職。修行を積み、30歳のときに夫婦二人で酒屋をスタートさせました。今でいうお酒のディスカウントショップのような店で、そのころはまだ珍しかったですね。
穂積 現在の業務を始められたのはいつごろからなのですか。
吉野 6年半ほど前ですね。時代とともにお酒だけでは特徴を出しにくくなったことを受け、新たな道を探していたときに業務用食品スーパー出店のお話を戴きましてね。それで「業務用食品スーパー ドラゴン」として新しいスタートを切ることになったのですよ。
吉野(文) ただ最初は業務用食品スーパーというカテゴリーが地域の方にも業界的にも受け入れてもらえず苦労しました。それでも諦めずに続けていった結果、一般的なスーパーと住み分けが出来ることを理解して頂けて、徐々に認めてもらえるようになっていったのです。それに最近は冷凍技術も向上していますから、味に関しても認めてもらえることが増えていますし、お客様の幅も広がってきたように思いますね。
■ 独自性溢れる方針でより地域の方に喜ばれるお店を
穂積 こちらならではの特徴とは?
吉野 甕や樽で熟成させた本格焼酎を多数取り揃えているところですね。オリジナルラベルやボトルなどもご用意しておりますので、イベントはもちろん業務店様にも数多く利用して頂いているのですよ。
穂積 それは便利ですね!
吉野 通常、オリジナルのお酒はかなり多く頼まねばならない仕組みなのですが、それだと試しに頼めませんし、量がそんなに要らない場合は後処理に困ってしまいますよね。そこでお客様が使いやすい形で提供することができればと、当店では1本単位から承っているんですよ。お陰で「気軽にオリジナルのお酒がつくれる」とご好評頂いております。それに業務店様を対象にお店のメニューやチラシ、テーブルテントなど開店準備のお手伝い業務も行っていますので、新規出店を考えておられる方は、当社に一度ご相談頂きたいですね。
穂積 そういったサービスはなかなか真似ができないことだと思います。御社を頼る人が多いのは、お客様第一の姿勢と便利さが要因なのでしょうね。
吉野(文) 便利さと言えば、当社では健康管理食を扱っており、管理栄養士が考えた食事を配達しているんです。もともと酒屋だったこともあって配達は得意ですし、高齢社会となって運転に不安を抱えておられる方も増えてきていますから、今後も地域の方のために続けていきたいと思っております。
穂積 地域貢献にもなりますし、素晴らしい取り組みだと思います。そうやって色々なことに挑戦できるパワーはどこから湧いてくるのですか。
吉野 お客様に元気になって欲しいという気持ちからです。景気は冷え込んでいますし、明るい話題も少ないですよね。そんな中だからこそ、気分だけでも明るくして暗い雰囲気を吹き飛ばそうと思っているのですよ。ですから元気、活気、負けん気などの「気」を大切にするように従業員にも日ごろから言っています。
穂積 その力強さが御社が順調に成長してきた理由なのでしょう。それでは最後に今後の展望を!
吉野 会社を大きくしようとか利益を得ようと思うのではなく、まずは地域の方が困っておられることに何でも対応できる店になれればと思っています。そして少しでも地元で知名度を上げ、たくさんの方から指名される店になりたいですね。将来的な夢としては、私の息子に後を継いでもらうこと。できるだけ良い形で受け渡しができるよう、これからも頑張っていきたいと思います。
(2010年1月取材)
穂積 隆信(俳優)
積極的に新しいことにチャレンジし、業務用食品スーパーの世界で地位を築いてこられた吉野社長。十分に成功したと言えると思うのですが、社長は現状に甘んじることなくさらに充実した店づくりに向けて余念がありませんでした。ただ社長が他の方と違うのは、利益や名誉を求めているのではなく、お客様に喜んでもらいたいとの気持ちで努力を重ねているところ。その気持ちが社長の明日への原動力となり、魅力的な店づくりにつながっているのでしょうね。